野暮天堂

旅は道連れ、世は情け

感謝についての考察

感謝すると幸運になるとよく言われる。このことについて考えていて、どうやらあながち間違いではなさそうだぞ、と思った。

 

1)人間は相反する感情を同時に抱くことが難しい。たとえば喜びと悲しみを同時に抱くことは非常に難しい。喜びながら悲しむことができる人はいないだろう。あるいは喜びながら怒ることも難しい。

「このケーキすっごいおいしい!ああー、もう悲しい……」

「わあ、僕が欲しかったゲームくれるの!?やったー!もう殺したいくらいむかつくわ!」

とは普通ならないわけだ。こういう状況が当たり前なら、何らかの治療の必要がある。

 

2)逆に言えば、似た感情ほど同居しやすいという傾向があるようだ。怒りは悲しみや不安と仲が良く。喜びと楽しみ、幸福感は仲が良い。それら似たような性質の感情同士は、心の中で一緒に居やすい。一般的にそう考えられると思う。

 

3)喜びや楽しみなど、ポジティブな感情のなかで、ある程度自分でコントロールして発生させることができるのが感謝である。楽しい感情や喜びの感情を自分で起こすのはけっこう難しい。だが、感謝は比較的実践しやすい。というのも、人間ひとりが生きるために、無数の存在からいろいろなものを与えてもらっているという事実があるからだ。そのため意識すれば、感謝できることはそこら中に転がっている。楽しいことや喜ばしいことを探すのは難しくても、感謝できることは見つけやすい。歩けること、味覚が活きていること、ネットが使えること、水が蛇口から出ることなど、当たり前だけど改めて考えると感謝できることは身の回りにたくさんある。

 

4)人間の脳には、「繰り返し行っている行為に関する部分」が発達するという傾向があるらしい。数学ばかりしていれば数学が得意になるし、サッカーばかりしていればサッカーが得意になる。それはその行為に関連する脳の部分が発達するから。不安なことを毎日考えていたら、不安なことを考えるのが得意になる。逆に、感謝ばかりしていたら感謝するのが得意になる脳になる。そう考えられそうだ。

 

 【参照文献】『スタンフォードの自分を変える教室』p.52 「脳の灰白質を増強」

 

 

スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫)

スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫)

 

 

6)ここまでをまとめてみる。上記3からポジティブな感覚・感情のなかで、比較的自分で意識的に発生させやすいのが「感謝」である。また4から、「感謝」を日々実践していくことで、「感謝をするのが得意な脳みそになる」可能性が高い。そうすると1、2から、「感謝に似たような感情(喜び、楽しさ、幸福感)」が心のなかに同居するようになり、反対に「感謝に似ていない感情(不安、悲しみ、怒り)」は同居しにくくなる。

 

7)こうやって「感謝」を起因として、だんだんと心のなかが明るくなってくる。不安や怒りはストレスになる。そのストレスが少なくなると、自然とより能率的な行動を選択するようになる。そうなると当然言動や行動も変わってくる。結果としてポジティブな現象が起こりやすくなる。

さらに、似たように心のなかが明るい人物との交流が増えてくる。人間は自分と似たような性質を持った人間と一緒にいることを選択するのが自然。あまりにも性質が異なる者同士が一緒にいると、互いにストレスを抱えやすいので、多くの場合「似た者同士」で一緒に居ることになる。ゆえに、心のなかが「感謝、楽しみ、喜び、幸福感」で満たされている時間が長い人間の周りには、同じように明るい心を持った人間が増えていく。逆に不安や不満ばかりを抱えている人間が去って行く。

こうなると、当然いろいろなチャンスも増えてくることだろう。また、物の見方が変わることで、今まで見えなかったチャンス・側面にも気づきやすくなるかもしれない。

周りには良い人ばかりで、良いチャンスが増えてくる……こういう状態のことを、人は「幸運」と呼ぶのではないだろうか。

 

8)流れをまとめると以下のようになる。

 

① プラス感情のなかで意図的に発生させやすい「感謝」を実践、繰り返す

② 脳が「感謝」をしやすい・見つけやすい構造に変化

③ 心のなかで感謝の割合が大きくなることで、似た性質の喜び、楽しさ、幸福感といったプラス感情・感覚が同居しやすくなる

④ 反対に怒り、不安、妬みなどネガティブな感情は同居しづらいので、自然と減退する

⑤ さらに感謝の実践を継続することで、②~④のサイクルが回転。プラス感情が強化される。

⑥ 心のなかが変わることで、言動や行動、物の見方にも変化が訪れる。その結果、現実からよりよいフィードバックを得られるようになる。

⑦ 周囲の人間関係にも良い変化が訪れる。

⑧ このような状態のことを人は「幸運」と呼ぶ。

 

 

以上がなんとなく考えてみた結果である。

 

 

【フランスの燃料税デモ】民衆の行動が政治に影響を与える可能性

消費税10%への引き上げが、迫ってきている。メディアでは軽減税率に関することを伝えていて、そのややこしさを見る限り「じゃあ、引き上げをやめにすりゃいいのに」と感じるばかりだ。個人的にもこの状況における消費税10%への引き上げは、確実に日本の経済にダメージを与えることになると思っている。というか、そんなことはほとんどの日本人が考えていることだと思う。

 

そんななか、フランスのニュースが目に留まる。

www.cnn.co.jp

 

www.newsweekjapan.jp

このデモの是非は置いておくとして、民衆の行動が政治に影響を及ぼした、という事実に注目したい。日本でこんな大々的なデモが起こることはまずないだろうけど、行動を起こすことで何かしらの影響を世の中に与えることは可能、ということは明らかになった。まあ、デモを起こしたところで日本の政治は変わらない、ということも考えられるのだけど。

 

日本人は馬鹿ではないと思う。今はインターネットも普及しているし、みんなけっこういろいろ勉強しているんじゃないかと思う。ただ、「何かあっても黙ってしまう」ということはよくあるんだと思う。日本人の国民性が裏目に出ているのかなあ……。もう少し「言うべきことは言う。行動すべきときは行動する」ということができれば、もうちょっと変わるんじゃないかと思う。