散歩への憧憬
「ブラタモリ」という番組がある。
かなり単純に説明すれば、タモリが各地を放浪するという番組だ。
何度か見たことがあるが、タモリ独自の視点と専門家による熱のある弁が絡み合い、なかなかに見応えのある番組となっている。近年、江戸の古地図を片手に東京都内を歩き回る趣味を持っている人間もいると聞く。
散策による発見というのは、なかなかに面白い。
文章を読むことによる発見も面白いものがあるが、やはり実地に見て感じ、考察することの面白さは特別なものである。文章だけでなく、匂いや雰囲気を感じ取れるのも大きなメリットである。
考現学というものがあり、人間は何かを観察することが好きなのだと言うことを知る。
考現学は、柳田国男に師事した今和次郎という人物が提唱した学問。しかし今和次郎は、考現学研究のために柳田に破門されたらしい。なにがあったのだと言うのだ。
とにもかくにも、これからやろうとしていることに近いことをすでにやっていた人間がいたと知り、少しにんまりした。なるほどなるほど、楽しそうじゃないか。
植生調査をやろうと思ったが、すでに国がやっていた。まあ、それは当たり前のことなのだが、少しつまらない。国や自治体の力の方が圧倒的に個人を凌駕しているだろう。ならば、何かできないか。
そこで町を観察するのだ。
関東地方の民俗地図〈2〉千葉・東京・神奈川 (都道府県別 日本の民俗分布地図集成)
- 作者: 天野武,千葉県教育委員会,東京都教育委員会,神奈川県教育委員会
- 出版社/メーカー: 東洋書林
- 発売日: 1999/12
- メディア: 単行本
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散歩が面白くなりそうな資料は探せばいろいろある。
しかし、民俗学は過去の事物を取り扱う傾向が強そうだ。ならば、現在の姿をデータとして集めることができたら、面白そうではないか。
百年、二百年経ったときに、2016年の日本の姿を少しでも垣間見ることができる資料があれば、役立つかもしれない。やってみるか。