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野暮天堂

旅は道連れ、世は情け

問題の根本を見つめることの難しさ

 

よく、「現代の日本社会は、豊かになってモノが溢れたから、経済は成長しない。それ以外のものを求めるようになった」というような言説を聞くことがある。こういった言葉を聞くたびに、違和感を覚える。

 

経済学的に見れば、これまでの日本は20年以上もデフレを続けてきた。「モノが溢れているから経済が成長しない」……つまり、購買欲が無くなったのではなく、「デフレだから安いモノしか買わない」といったマインドが支配しているのだということだ。

 

若者は、お金が無いので車も酒も買わないのだ。GDPが普通に右肩上がりになっていれば、消費性向を低めることもなく、家やらなにやら買っていたことだろう。

 

このように、なにかしらの問題があっても、その根本を正確にとらえるには、幾ばくかの知識が必要になってきそうだ。ちなみに、上のような見方は、著名な経済評論家の請け売りだ。

表面をなぞるだけでも、見えてくることはあるのかもしれない。しかし、それだけだと見誤ることもある。

 

複雑な問題を単純に見て、単純な問題を複雑に見る。

 

遠くのできごとに
人はやさしい
(おれはそのことを知っている
吹いていった風)

近くのできごとに
人はだまりこむ
(おれはそのことを知っている
吹いていった風)

遠くのできごとに
人はうつくしく怒る
(おれはそのわけを知っている
吹いていった風)

近くのできごとに
人は新聞紙と同じ声をあげる
(おれはそのわけを知っている
吹いていった風)

 

風      石川逸子

 

高校生の頃に読んだ詩のことを思い出した。

 

人間はとかく、感情的になりがちで、そうなると近視眼的になりがちだ。

自分も含め、都合のいい情報をかき集める傾向にないか。

 

広い視野を持つことの難しさよ。

 

だからこそ、本を読みたくなった。