野暮天堂

旅は道連れ、世は情け

いわゆる「日本スゴイ系テレビ番組」について

ある記事で、「日本スゴイ系テレビ番組」について言及していた。

曰く、「日本スゴイ系テレビ番組」を観て、違和感を覚えると

 

日本スゴイ系番組がたくさん!

 

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日本スゴイ系テレビ番組」とは、たとえば日本に行ってみたいと思っている外国人を呼んで、日本の文化を実体験させようという企画のものや、海外の専門家が日本の専門家――鉄道関係者や宮大工などの建築関係者――に日本の技術について解説を請う企画のものなどを指す。

www.tv-tokyo.co.jp

 

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僕もいくつかの番組はたまに観る。そして、それなりに楽しんでいる。

だが、この番組に対して「日本を持ち上げすぎではないか?」という思いを抱く人がいることも確かだろう。「なぜ、外国の人に日本を持ち上げるようなことを言わせたり、やらせたりするのか」「そんなのは情けない」「かっこわるい」と……。

 

そういった気持ちを持つのは自然なことだと思うが、僕はそれも仕方のないことではないか、と思う。

 

ずっと自虐的だった日本人

 

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日本はずっと自国に対して「自虐的」だった。これは最近になってようやく認識されてきたことだ。

日本の教育には、ずっと「自虐史観」というものが反映されてきたようである。自国の歴史に関して、否定的に考える方が利口だと教えられていたのだ。といっても、それは主に戦時中の歴史に関することだろうが。

 

だが、その効果は確かにあり、今もなおそれなりに影響を与えているような気がする。

それでも経済が上向いていた時期はよかった。それでも人の心は明るかったかもしれない。だが、バブルがはじけデフレを20年以上も続けてしまった。

そんななかで、日本国民はさらに自虐的になりやすい状態だったはずだ。

 

あの手の番組は、その反動として出てきたような気がするのである。そしてそれは、良い面もあると思うのだ。やり方はうまくないかもしれないが、日本人が自国の文化を再確認するのには役立っているはずだからだ。

 

日本人は、自国の文化をあまり知らない。そして、知らないがゆえに、尊重もできない。そうなると、やはり国家としては弱いと思う。これは個人的な気持ちだけど、やはり自分の国の文化くらい知っていたいものだ。それに、歴史も。

 

僕個人は、きっかけは反動だったとしても、日本人が日本の良い面を確認することは大事だと思っている。だっていままでずっとおざなりにしてきたのだし。それに、以前の記事でも書いたけど、人間は暗い部分ばかり見ていては前に進めないと思うのだ。

 

 

homurajin55.hatenablog.com

であるからこそ、自国の良い面も認識しないと。というか、まずはそこからはじめないといけないと思うのだ。もちろん、ただ持ち上げるだけ持ち上げて、それで満足していてはいけない。長所を知った上で、短所や改善すべき点、反省すべき点に目を向けるべきだと思う。

 

そういうわけで、僕はあの手の番組を「かっこわるい」とは思えない。

たぶん、必要な動きなのだと思うから。

 

実際に日本の文化について知ることも多い

 

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日本スゴイ系テレビ番組」をきっかけにして、日本の文化に触れるのも面白い。たとえば、「組子」について取り上げていた番組には、感謝している。

 

「組子」という建具の技術を洗練して、それをさまざまな作品で表現している人がいる塩澤正信という人だ。彼は長野県の工房で、ひたすら「組子」と向き合っている。

 

日本一の組子 - 株式会社 塩澤 ページ

 

彼のもとに、ひとりの外国人がやってくる。そして、塩澤さんの穏やかな人柄に触れながら、組子の技術を少しだけ教わり、帰っていった。

一番感動したのは、塩澤さんのお子さんたちが、皆なにかしらの形で「組子」に関わりながら生きていきたいと思って、進路を決めていることだ。息子は塩澤さんを継ぎたいと言っていたし、娘は海外に留学して「組子」のことを外国の人に知ってもらいたいと言っていた。

塩澤さん、そして塩澤さん家族の情熱に胸を打たれた。そしてまた、外国から来た人間が日本の文化を愛してくれていることに、ありがたくなった。

 

さきほども言ったように、日本人は自虐的になっている。だから、自分で自分の国のことを「素晴らしい!」とはなかなか言えないのだと思う。だから、わざわざ海外の人を連れてきて、日本の文化を外から愛している人たちがいることを伝え、日本人に「日本も悪くないかも」と思わせようとしているのではないか。

僕は勝手にそう思っている。