野暮天堂

旅は道連れ、世は情け

文化や伝統を守ること


アーツ&クラフツ商会 #14「肥後象嵌」

 

youtubeで面白い動画を見つけた。というか、自分好みの動画だ。

日本の伝統工芸を紹介する番組だ。毎回ひとつの工芸品をテーマにして、職人の仕事に密着する。

 

この動画を見ていると、不思議と落ち着いた気分になる。

職人たちの業を眺めるのが面白い。

 

日本の伝統や文化を守るというのは、どういうことだろう、と考えた。

 

この動画を見ていると、やはり良いものは人の心を潤すことが分かる。そして、ひとつの品を作るために使われている道具や材料は、やはり日本のものが多い。日本の様々な産業の「つながり」のようなものを感じることができた。

 

伝統は、日本人の暮らしに密接に関わっているように思う。日本の土地・風土・感性に合ったものを作り出す。それが伝統工芸なのではないか、と考えた。

美しいと感じると同時に、どこかほっとするのだ。それは、日本の風土に合った日本人らしい業が、工芸品のなかに込められているからではないか。

 

若者を中心として、伝統や文化から離れる傾向が強いと言われることもある。まず、知らない、ということがあると思う。それから、やはり他の多くの手に入りやすい品に比べ、敷居が高いかんじもするし、実際高価なものも多い。

 

だが、だからといってそのままにしていいわけもないと思っている。

良い文化、良い伝統は確実に人の暮らしを豊かにする。暮らしが豊かになれば、人生も豊かになる。ひとりひとりの生活が豊かになれば、心にゆとりが生まれやすくなる。良い社会が生まれやすくなる。良い社会になれば、他国に対して良い効果を生み出すこともできるのではないか。つまりこれは、調和への道。

 

日本には日本にあった「あり方」があると思う。その象徴が、伝統や文化。あるいはそのなかに込められているものなのではないか、と見当をつけてみた。

 

その国にはその国に合ったあり方があり、やり方があっていいはずだ。だからこそ、自分の国のあり方に着目することが重要になる。具体的にどこに着目するか、と言うと文化や伝統ということになるのではないか。そしてその中でどんなふうに人が暮らしてきたか、という歴史ではないか。

 

もっと日本に合った、もっと美しい状態を作り出すことができるのではないか。そのヒントが歴史や文化、伝統に隠れている気がする。だからこそ、それらを調べ、伝えてみたいと感じた。

「好き」はどこに転がっているかわからない

昨日、常々やりたいと思っていた木彫をはじめた。

木彫とは、木彫りのことである。仏像やレリーフを彫ったりするあれだ。

なぜ今までやらなかったのかと言うと単純に、

「道具を買って、材料を買ってやってみて、それで面白くなかったらどうしよう?」

とか、考えていたからである。

だが、やってみると感覚的に「これは自分に向いているな」と分かるのだ。

 

木を彫るときの感覚。あの研ぎ澄まされる感覚。

もともと職人的なものに対する憧れはあると自覚していたが、日々の猥雑な感情に流されて自身の感覚に注意していなかった。

いま、やっと気づけてよかった、と思う一方で、

「遅いわ!」

と、自分につっこみたくもある。

まあ、なにはともあれ楽しいからいいのだけれど。

 

このように、頭でっかちな人間は案外、自分の好きなことから遠ざかっている場合がありそうだ、と考えた。

それだけじゃなく、人間は大人になると世間体だとか社会性だとかに気を取られて、自らの素直な欲求や素質に気づくのが難しくなる場合もあるかも、と思った。

 

僕は、誰もが才能を持っていると思うし、自らの心を豊かにできる趣味や文化に出会えるはずだと思っている。そして、それは経済的だ。建設的だ。なぜなら、より豊かな心で暮らす人が増えれば、それだけ比例的にストレスは軽減されそうだし、余裕が生まれそうだからだ。

 

しかし、「周囲に合わせないと」という意識は、特に学生の皆さんには大きいかと思う。特に文系の皆さん。そうなると、その意識が靄を生み出してしまうこともありそうだな、と思うのだ。

自分の「好き」に、自分で気づくことができない。

自分の才能に、自分で気づくことができない。

そんな勿体ないことが起こりえそうだ。

 

学生の皆さんもそうだが、ぜひ社会人や大人の皆さんにも、もっともっといろんなことに挑戦してみてほしいものだ。なぜなら、どこに自分に合ったものが転がっているかわからないからだ。直感的に「これは自分に合っている」と分かるときもあるだろうし、それひとつで十分な場合もあるだろうが、楽しいことはいくつもあってもいいと思う。

 

ひとりひとりの心が豊かになることが、調和への第一歩のような気がする。

最近そう思うのだ。

だからこそ、暮らしや文化を大事にしたいし、ひとりひとりの心の状態がよりよい状態であるように、と願う。

 

そのためにも、好きなことを多く見つけてほしい。

余裕を持ち、人に優しくなるためにも。