あたかも
ものごとを続けるにあたって、気楽さは重要だと思う。よく「失敗をおそれるな!」と言うが、もうちょっとイントネーションを変えて「失敗をー、こわがっちゃだめだかんねー」くらいがいいと思う。「継続は力なり」はきざな言い方なのだと断言してみる。そうじゃない。「惰性って大事だよんね」くらいでいいのではないかな、と。
仕事となると、余計に肩肘入れようとする傾向がありそう。でも、それって本当に大事なことなのか。「お客様は神様だ!諸君、ひとときも気を抜かず、精一杯血管がぶち切れそうなくらい気合いを入れて、ことにあたりたまえ」などと上司が命令する職場はいやだ。吉野家の店員に、適当な人間がいても、僕はいっこうに構わない。しっかり仕事する人間がいて、しっかりさぼる人間がいて、それが社会だと思っている。完璧超人だけが労働力十割で仕事をしていたら、ホッブズもびっくりのリヴァイアサン血の海社会ができあがるだろう。そんなんいやだ。
人は「きれい事言いやがって」とよく綺麗事言うことを非難するが、自分の中にふつふつと綺麗事メーターが貯まっていることを意識しないでいたりする。都合のよいときに綺麗事を唱えると、けっこう精神が安定する。だから、結構みんな下衆で、綺麗事好き人間なのではないかと思っていたりする。じゃなきゃ、『君の名は。』なんてヒットしない。
とにかく、世の中そんなに完全じゃない。完全無菌室で人は生きることができない。ほどほどに不完全な方が、居心地がいいのだと、言い切ってもいいかもしれない。