野暮天堂

旅は道連れ、世は情け

書籍は目

旅人になりたい、と思うことがある。

 

僕は欲張りなので、いろんな場所に行きたいし、いろんなことを知りたいと思ってしまう。だが、時間は有限だし、身体もひとつしかない、お金だってあんまりない。そうなると、どうしても行ける場所も経験できることも限られてくる。

 

そんなことを考えながら、書店の学術書のコーナーを見ていた。そうしたら、さまざまなテーマの書籍が並んでいて、当たり前だけど、いろんな人がいろんな考えを見せてくれているんだなあ、ということに気づいた。

 

「あ、これでいいのか」

という感覚。

 

自分は世界にひとりしかいなくて、行ける場所も経験できることも少ないけど、世界にはたくさんの人がいて、それだけたくさんの頭と身体と目があるということなのだ。その人たちが、いろんなことを自由に考えたり、分析したりして、本という形で伝えてくれている。最近は、ブログやウェブのコンテンツとしても伝えることができる。

 

ひとつの身体とひとつの脳みそ、ふたつの目しかないと思いがちだけど、知性と感性、想像力を使えば、いろんな「目」や「脳みそ」を借りることができるのだ。

 

これで、もっと世界を旅することができる。

そして、僕もいつか誰かの「目」になれたらいいな、と思った。

文化や伝統を守ること


アーツ&クラフツ商会 #14「肥後象嵌」

 

youtubeで面白い動画を見つけた。というか、自分好みの動画だ。

日本の伝統工芸を紹介する番組だ。毎回ひとつの工芸品をテーマにして、職人の仕事に密着する。

 

この動画を見ていると、不思議と落ち着いた気分になる。

職人たちの業を眺めるのが面白い。

 

日本の伝統や文化を守るというのは、どういうことだろう、と考えた。

 

この動画を見ていると、やはり良いものは人の心を潤すことが分かる。そして、ひとつの品を作るために使われている道具や材料は、やはり日本のものが多い。日本の様々な産業の「つながり」のようなものを感じることができた。

 

伝統は、日本人の暮らしに密接に関わっているように思う。日本の土地・風土・感性に合ったものを作り出す。それが伝統工芸なのではないか、と考えた。

美しいと感じると同時に、どこかほっとするのだ。それは、日本の風土に合った日本人らしい業が、工芸品のなかに込められているからではないか。

 

若者を中心として、伝統や文化から離れる傾向が強いと言われることもある。まず、知らない、ということがあると思う。それから、やはり他の多くの手に入りやすい品に比べ、敷居が高いかんじもするし、実際高価なものも多い。

 

だが、だからといってそのままにしていいわけもないと思っている。

良い文化、良い伝統は確実に人の暮らしを豊かにする。暮らしが豊かになれば、人生も豊かになる。ひとりひとりの生活が豊かになれば、心にゆとりが生まれやすくなる。良い社会が生まれやすくなる。良い社会になれば、他国に対して良い効果を生み出すこともできるのではないか。つまりこれは、調和への道。

 

日本には日本にあった「あり方」があると思う。その象徴が、伝統や文化。あるいはそのなかに込められているものなのではないか、と見当をつけてみた。

 

その国にはその国に合ったあり方があり、やり方があっていいはずだ。だからこそ、自分の国のあり方に着目することが重要になる。具体的にどこに着目するか、と言うと文化や伝統ということになるのではないか。そしてその中でどんなふうに人が暮らしてきたか、という歴史ではないか。

 

もっと日本に合った、もっと美しい状態を作り出すことができるのではないか。そのヒントが歴史や文化、伝統に隠れている気がする。だからこそ、それらを調べ、伝えてみたいと感じた。