自分好みのラーメンを作るというのも面白いのか?
先日、昼ご飯にラーメンを作った。
余っていた食材を使ったわけだが、それなりに見栄えはよかった。
味も悪くない。
しかし、物足りなさを感じる。
チャーシューの代わりに豚ロースに塩こしょうをして、薄く小麦粉をまぶしたものを焼いた。見た目は悪くないのだが、「ラーメン」とのミスマッチ感はぬぐいきれない。
と、ここで一つの考えに思い至った。
「自分オリジナルのラーメンで自分の舌を満足させるのもいいのではないか?」
ラーメン市場はまさに群雄割拠の時代。
カップラーメンの市場も熾烈を極めていることと思う。
それだけラーメンは熱い。
いや、食い物に対する人間の情熱にははかりしれないものがある。
どうだ?
自分でラーメンを作ってみるのは。
ラーメンは全方位射撃的食い物なのではないか?
ラーメンを好む人間は多い。
需要があるからこそ、供給が成り立っているのだろう。
考えてみれば、ラーメンは色々な要素を併せ持った食い物なのではないか。
まずはスープ。
どんな出汁をとるのか。そしてどんな味にするのか。
スープは皆さん大好きでしょう。
コーンポタージュとか味噌汁とか。
そのスープだけで奥が深い。
次に麵。
ちぢれているのか、ストレートなのか。
細麺か、太麺か。
うん。奥が深い。
そして具。
これらのバランスなどを考えて最高の一品を考え出す。
店の場合は提供の時間や経済的な面も考慮しないといけない。
ふーむ。なかなか面白いではないか。
ちょっと面白そうではないか
自分好みのラーメンを一から作ってみる。
これはなかなか面白いのではないか。
しかも研究材料は全国にある。
面白いではないか。
ちょっとやってみようかな。
ラーメン研究……。
元々料理は好きな方なのである。
料理の研究も面白そうだ。
手始めにラーメンから初めてみるのもいいかもしれない。
うーん。やってみるかね。
先日行ったラーメン屋のはなし グルメレポート♯1
先日、と言っても一月の中旬になるのでかなり前のことになるが、池袋に行った。
目当てはジュンク堂。
日本最大級と言ってもいい本屋に立ち寄るべく、僕は池袋に馳せ参じた。
わくわくしばがら、しばらく店内を徘徊する。
「ふふーん。こんな本があるんだなあ。分厚い!!ああ、欲しいなあ。民俗学、いいなあ。宮本常一全集を集めるのもいいか。ああ、そうだな。将来は本棚をたくさん買って、分野別に納めよう。ああ、夢広がるわあ。究極的には家の敷地内に蔵を作って、書庫でも設けたいけど…そんな金無いかあ。楽しいなあ」
などと一人で空想を広げて楽しみつつ、ジュンク堂の静謐な空気を味わった。
ああ、本屋っていいぜ。
最高だぜ、などと脳内でのたまっていると、腹が減った。
実はこの日のために池袋のラーメン屋をチェックしておいた。
僕は目当てのラーメン屋へ足を向けた。
と言っても、土地勘があるわけではないので、一度池袋駅に戻り、グーグルマップを当てにしてひたすら歩いた。
グーグルマップもすこぶる正確に場所を示してくれるわけではないので、いくつかの路地を行きつ戻りつして、当該ラーメン屋を発見した。
そのラーメン屋の名は《生粋》
池袋が本店なのだそうだ。
事前情報によれば、さんまを出汁に使っているそうで、なかなかうまそうだ。
ひっそりとした門構えが、普段はチェーン店にしか入らない僕の心を臆病にさせたが、なんとか引き戸を開け、店内に入る。
店内に入るとすぐそこに食券機がある。これは嬉しい。
注文の時いちいち相手のことを気にしなくてすむ。
僕は味は吉野家のほうが好きだけど、入りやすいのは松屋なのだ。なぜなら食券機があるから。
それにしても、店内は静かだ。
ジュンク堂にも静謐な空気が流れていたが、それは本屋だから頷ける。
しかし、ここはラーメン屋。
ラーメン屋って言ったらもっともっと元気でパワフルな店員さんが怒声を張り上げているものではないのか?
モダン……と言ったらいいのか。
カウンター席に座り食券を店員さんに渡す。
若い店員さんが二人で黙々と作業をしていた。
お客さんが礼儀正しいことに驚く
ラーメンができあがるまでの間、しばし時間をもてあます。
自然と店内の雰囲気を観察する。
店内の静けさと相まって、客が静かに味を堪能しているように感じる。
幾人かの客が食べ終わり、席を立つときに、
「ごちそうさまでしたー」
と、ちゃんと声を出すことに驚いた。
女性も、である。
そそくさと立ち去ってもよさそうなものだが……。
やはり俺も挨拶すべきだろうな。とちょっと緊張する。
ついにラーメンが出てきた。なかなか濃厚そうじゃないか…
濃厚な匂いがラーメンから立ち上ってくる。
いいじゃないか。いいじゃないか。
何がいいのか分からないが、いいじゃないか。
普段、家系のラーメンしか食べない自分にとってこの魚介系のスープはさぞ新鮮な感動を与えてくれるにちがいない。
実際に食してみる。
うん!うまい!!
なんというか、魚介!!って感じがする。
他に魚介系のラーメンを食べたことがないけど、なるほどうまい。
さんまと言われればそうなのだろうな、と感じる。
チャーシューも肉厚だ。水菜もいいじゃないか。
そうそう書き忘れていたが、やはり店内には濃厚な魚系の匂いが立ちこめている。
その匂いが期待感を高めるのだ。
しかし、味がどうのこうのより、このモダンな空気の中でラーメンを味わっていることに満足感を覚える。
「なかなかいいじゃないか。いい味を知ってしまったじゃないか、自分」
恍惚とした気分にならんでもない。
ちょっと得した気分になる
食い終わって満足感が押し寄せる。
さあ、挨拶して帰るか、と思ったら新しい客が入ってきた。
その客の対応にかぶせる形であいさつをするのも何かおかしいと思い、静かに席を立った。
「くそう…臆病者め…!」
自分を叱咤して、晴れ渡る空の下、白い息を吐いた。